サンディエゴ近郊には素敵でエキサイティングなマウンテンバイクトレイルをいくつもあります。はやぶさは、この滞在中にいくつかのトレイルを走り、カリフォルニアの自然の中を疾走して満喫することができましたので、いくつかおすすめトレイルを紹介していこうと思います。
3つめのトレイルは、正しくはトレイルではな、車も走れるダートロードなんですが、一般的なトレイル案内サイトやアプリには載っていない、はやぶさの独自に発見したエキサイティングなダートロード Fred Canyon Road です。
概要
サンディエゴのダウンタウンからインターステート8を東へ60マイルほど進み、54の出口を出て Kitchen Creek Road を数マイル北上したところにあるキャンプ場 Cibbets Flat Campground をスタート地点とするダートロードです。
ちなみに、インターステート8からキャンプ場までの道も美しく、ぜひオープンカーやロードバイクで走ってみたいものです。
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エリアとしては、Mount Laguna と同じく Cleveland National Forest エリアにありますが、Mount Laguna とは違って人気のない山深いところにあります。
サンディエゴの海側と陸側の砂漠を隔てる山脈の山々の間を縫っていくダートロードで、標高の高いエリアにあるため、空気の爽やかさが素晴らしく、さらにほかのトレイルにはない絶景を楽しむことができます。
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しかも、中級者が何度もチャレンジしたくなる程度の程よい難易度も備えているため、MTBを乗り込んでから走りにいけば、これまでとは違った楽しみ方ができるでしょう。
ルート紹介
スタート地点の Cibbets Flat Campground からは一本道で迷うことはありません。途中分岐に見えるところもありますが、明らかに小さな横道であったり、道が悪かったりするので、それを無視してとにかくまっすぐ進めばOKです。
Fred Canyon Road を走りきると Things Canyon Road につながるT字路に出ます。左に曲がると Thing Valley Road を走る巨大なループを形成することができますが、距離がありすぎるので私は試していません。Thing Valley Road を北上すると、地図上では Sunrise Highway にアクセスることもできるようです。
Fred Canyon Road の行きは99%上りで、帰りは99%下りです。標高はかなり高く、スタート地点が標高約1,200 m で、Thing Valley Road の突き当りの標高約1,700 m まで、標高差 500 m を駆け上って駆け下るコースになります。
そんなコースのため、行きは1時間半ほどかかりますが、帰りは30分もかかりません。それくらい極端な上りと下りからなるコースです。
評価
難易度・・・中級者以上のライダーにおすすめ
このルートは基本的に車も走ることができる程度のラフさと起伏なので、ただ走るだけならバイクコントロールテクニックという意味では難しくありません。初心者でも走ることができるでしょう。
しかし、しっかりと走って楽しむなら、約10 kmも続く上りを余裕で走破できる脚力と、変化に富んだ下りの路面状態をすぐに判断してバイクをコントロールできるテクニックが必要です。
上りについては、5~10%はあろうかという上りがずーっと続き、しかも路面が荒れていて標高が高いので、息が上がって体力が奪われます。カーブを曲がっても曲がっても頂上が見えないので、ヒルクライムに慣れていないと心が折れるかもしれません。逆にヒルクライム好きのマゾライダーにとっては素晴らしくチャレンジングなトレーニングになるでしょう。上りのタイムトライアルなんかにチャレンジしてもいいですね。
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下りについては、道幅は広くて見通しはいいのですが、ところどころに人頭大の石が転がっていたり、コーナーが滑りやすかったりします。コーナーによってはカントがついているので高速でクリアできますが、砂の浮き具合などを即座に判断してスピードをうまく落とし、滑らないように体重移動をする必要があります。
バイクスペックとしても、初心者向けの機械式ブレーキでは心もとないです。油圧ディスクブレーキは必須として、グリップ力向上やパンクリスク低減のためのチューブレスタイヤもあるとよいです。さらにフロントとリアともにサスペンションがあると、より攻めた走りを楽しめると思います。
楽しさ・・・チャレンジング&エキサイティング!MTBに乗り慣れたらぜひ!
このトレイルを一言で表すなら、チャレンジングでエキサイティングな大冒険、です!
上りは確かに斜度が大きくて長いですが、スタート地点の森からだんだんと標高が高くなっていくと木々が低くなって景色が開け始め、ちょっときつくなってきたところで突然パァーッ!と景色が開け、壮大で美しい風景が目の前に広がります。
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そこから高山らしい透き通るような濃紺の天空を目指しながら、息を切らしながら駆け上がっていきます。周りの山々と木々、そして山肌に見える白い花崗岩のコントラストが美しく、疲れも忘れてハイテンションで上っていけます。
そして、最もきついポイントで最も素晴らしい景色に出会えます。緑の輝く美しい山々のはるか向こうに、荒涼とした砂漠が広がっています。まるでこの地球を自分のものにしたかのような光景です。
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そこから上は比較的なだらかで道も良いので、爽快なサイクリングが楽しめます。
そして、ハイライトは下りです。バイクコントロールに自信があれば、非常にエキサイティングなダウンヒルが楽しめます。しかも、YouTubeで見るような狭いトレイルの恐ろしいダウンヒルではなく、道が広いので経験がなくても楽しめるところが素晴らしいところです。
コーナーにはだいたいカントがついているので、体をうまく使えば高速で駆け抜けられます。見通しの良い緩斜面では、降り注ぐ太陽光のもとで輝く木々が高速で後ろにすっ飛んでいきます。
森が開けたところでは、あたかもはるか遠くの砂漠の遠景にダイブするかのような、ちょっと怖くてとってもエキサイティングな体験ができます。
そしてところどころにちょうど良い高さのバンプがあり、このバンプを超える時の浮遊感がたまりません。それなりのバイクとそれなりのテクニックをもっていれば、ジャンプすることも可能でしょう。
ここで、私が撮影した下りの映像をお見せしましょう。
利便性・・・日帰りOKだが遠隔地で周りには何もない
Laguna Mountain Area からさらに遠いですが、その遠さはわずかで、道も走りやすいです。朝出れば当日昼過ぎには帰宅できる程度の距離ですので、距離的には問題ありません。
行ってみるとわかりますが、インターステート8を出て Kitchen Creek Road に入ると、お店はおろか、道路以外の人工物が本当に少なくなります。車も途中で1台すれ違うかどうか程度で、人がいません。そのため、飲み物や食べ物やその他物品の現地での補給は絶望的です。
モノが買えるお店で最も近いのは、インターステート8の出口から 10 km ほど手前の Pine Valley でしょうか。到着前にこのあたりで補給を済ませておくのが賢明です。
混雑度・・・誰も(本当に誰も)いない
上でも書きましたが、本当に人がいません。といってもスタート地点のキャンプ場には何台かの車と人の気配があります。
ところが、Fred Canyon Road に突入すると、人の気配が全くなくなります。私は Fred Canyon Road を2回走りましたが、2回とも誰にも出会いませんでした。
おかげで人を気にせず思いっきり走れるのですが、それは一方で、トラブルがあっても誰も助けてくれないことを意味します。Fred Canyon Road の最奥部では、ぎりぎり携帯電話の電波は入りますが、キャリアによっては保証できません。入口から最奥部まで 7マイルあるので帰るのも一苦労です。
そのため、過剰な食糧を持っていくことはもちろん、けがをした時の応急手当用品や、自転車にトラブルが発生しても修理して走って帰ってくることができる程度の修理用品(タイヤチューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ、替えのチェーン、チェーンカッター、など)を持っていくことが必須です。
もっと言うと、トラブルでの孤立を避けるため、一人では行かない方がよいでしょう。私は一人だったため、かなりの準備をしつつ、下りは絶対に転ばない程度に無理をせず走りました。それでも十二分にエキサイティングで楽しいです。
私は人に出会いませんでしたが、四輪駆動車やバイクのタイヤ痕があるので、たまに人が来て走っているのでしょう。もしこうしたエンジン付きの車両が走っていた場合、向こうも自転車が走っていることは想定していないと思いますので、衝突しないよう注意しないといけません。
地質的面白さ・・・カリフォルニアの手つかずの山々を縫って走るアドベンチャー!
このコースの地質的魅力は、なんといっても手つかずのカリフォルニアの山々です。走っている間、視界に入る人工物は自分と自分の走っている道だけです。他には人も、牧場も、鉄塔も、何もありません。
カリフォルニアの沿岸部と砂漠を隔てる山脈の山々を、そのままの姿のままたった一人で分け入って駆け上っていく、まさにアドベンチャーです。
自分の身一つでいくつもの山々を駆け上り、駆け下り、景色を自分のものにすることで、カリフォルニアの山々の壮麗さを、自分の肌で感じることができるでしょう。
山肌に目を凝らすと、美しい緑に映える、白く輝く花崗岩の岩塊がところどころに姿を現します。そして、特に白く目立つ巨大な岩脈が、いくつもの山をまたいで数キロにわたって走っています。
この岩塊はペグマタイト脈といって、普通はせいぜい幅数十cm程度の幅しかありません。それが幅数mもあり、数キロにもわたって続くのは壮大なスケールです。
ところどこでバイクを停めて転がっている石を見ると、ブラックトルマリンや白雲母、長石の結晶が美しい、素敵なペグマタイトを見つけることができます。時間をかけて散策すれば、結晶の美しいブラックトルマリンの結晶を見つけることもできるでしょう。
注意点など
このエリアは、Cleveland National Forest エリアなので、キャンプ場に車を停める時は料金がかかります。料金は $5/日ですが、年間パスもあります。無人料金箱に料金を入れ、支払った証明を車に掲示することでキャンプ場が利用できます。
そして繰り返しますが、このトレイルは人が来ない遠隔地のため、万全の準備を行い、そして無理をしないことです。懸念されることが発生した場合は無理せず引き返しましょう。
私はこのコースを発見したことで、サンディエゴ近郊にはトレイル案内サイトやアプリにも載っていない素敵な道がたくさんあることに気づきました。
次にサンディエゴに来るときには、こうした未知の開拓にもチャレンジしたいと思います。